日本人の約40%の方は頭痛(ずつう)に悩まされていると言います。特に20代後半から40代の女性に多く見られるようですが、割と痛み出しても時間の経過とともに、すぐに治まってしまうため、病院へ行かずに我慢してしまう方も多いのではないでしょうか。
ここでは、頭痛のメカニズムや危険な頭痛について説明しております。
▼ 頭痛とは
頭部の一部あるいは全体に内側から強い痛みを感じること
頭痛には、身体に異常がないにもかかわらず頭痛に見舞われる一次性頭痛と、病気により引き起こされる二次性頭痛があります。
頭痛は、熱や腹痛と同様に症状として扱われますが、慢性的に頭痛発作を繰り返す頭痛の場合には、頭痛症という病名として扱われます。
頭痛による痛みは、脳が痛むのではなく、脳の周囲にある筋肉や膜、血管などの損傷や炎症が脳へ伝わることによるものです。
▼ 頭痛の種類
頭痛を分類すると一次性頭痛と二次性頭痛に分かれますが、一次性頭痛には原因が特定しにくものや、2つ以上が合併して起こるものも含まれます。
一次性頭痛は慢性や反復性のため、一般には時間が解決してしまうことが多いです。
二次性頭痛は頭部の外傷や血管障害、感染症など原因が特定できる場合が多いです。他にもアルコールが原因で起こる二日酔いも二次性頭痛として分類されます。
女性に多い発作性の頭痛である片頭痛は、一次性頭痛に含まれます。一次性頭痛には、片頭痛と間違えやすい緊張型頭痛や、頭部の血管の拡張が関わっていると推測される群発頭痛があります。
片頭痛(へんずつう)
片頭痛とは、ズキズキと脈打つような痛みが慢性的に起こる頭痛のことです。偏頭痛(へんとうつう)と呼ばれることもあります。
片頭痛は、こめかみから目にかけて頭部の片側を中心に脈打つような痛みがあり、女性に多い発作性の頭痛です。光や音に過敏に反応し、多いときは週に2~3回の頻度で起こり、かなりの痛みを伴いますが、痛みが治まると何事もなかったように元通りになります。
片頭痛が起きる原因は、血管の拡張による周囲の炎症からくるものと考えられております。稀に痛みが起きる前に、閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる突然視野の中に稲妻のようなギザギザの光の波が現れる前兆が起きる場合があります。他にも手足の痺れやめまいなどの症状が見られますが、一般的には前兆がない場合がほとんどです。
緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)
緊張型頭痛とは、頭の重さや圧迫感、締め付け感のある頭痛のことです。
緊張型頭痛は、精神的・身体的ストレスや筋肉の緊張などが複雑に絡み合って起こると考えられております。
精神的なストレスのみが原因で頭痛を発症するケースもあり、緊張した状態が長期間続くと、脳の痛みを調整する部位が機能不全を起こし頭痛を引き起こすと言われております。
身体的なストレスには、パソコンの作業のような長時間同じ姿勢でいることで頭痛を発症するケースがあります。
筋肉の緊張による血流の悪化で、乳酸などの疲労物質が筋肉にたまり、神経を刺激して痛みを引き起こすと考えられております。
群発頭痛(ぐんぱつずつう)
群発頭痛とは、片頭痛のように発作的に発症し慢性的に起こる頭痛のことです。
群発頭痛は、一度発症すると1~2ヵ月にわたり、ほぼ毎日同じ時間帯に激しい頭痛が起こります。症状としては、片側の目の奥が激痛におそわれるのが特徴で、涙や鼻水、鼻づまりなどの症状も現れると言います。
群発頭痛が起こる原因は明らかにされておりませんが、何らかの理由で頭部の血管が拡張して起こるのではないかと考えられております。
頭痛のメカニズム
頭痛は脳そのものではなく、周囲にある筋肉や膜、血管などの神経が圧迫したり炎症したりすることで痛みが脳へ伝わります。
また肩こりや同じ姿勢のまま筋肉がこわばり、解放されたときに起こる血流の乱れも、周囲の神経が刺激されて痛みを伝えます。
頭痛は血流と深い関係があると考えられており、血行不良だけでなく良すぎても血管を拡張してしまうため、周囲の三叉神経(さんさしんけい)を刺激して頭痛になると言われております。気圧の変化による身体のむくみも、血管を拡張させるため、周りの神経を刺激して炎症が起きやすくなります。
頭痛外来について
頭痛外来とは、頭痛を専門とした診察・診療を行うことです。
頭痛は主に脳神経内科(神経内科)や脳神経外科、ペインクリニック内科など脳や神経を専門としている医師が診療を行います。
頭痛外来は、様々な頭痛の症状に対して、医学的に診察・検査・診断・薬の処方を行ってくれます。施設によっては、CTやMRI、SPECTといった最新の医療機器で、より精密な検査を受けることもできます。
慢性的な頭痛だけでなく、痛みの激しい頭痛やいつもと様子が違う頭痛に悩まされている方は、頭痛外来を受診して専門医に相談してみることをお勧めします。
頭痛の危険なサイン
頭痛は時間の経過とともに治まることが多いのですが、一部の頭痛は生命にかかわる危険なものもあります。
最も怖いのは二次性頭痛です。二次性頭痛のなかでも、突然今までに経験したことがない頭を金槌で叩かれたような痛みや、痛みが治まる気配がなく徐々に強くなる頭痛など、くも膜下出血や脳動脈解離、脳腫瘍などの可能性が高いため、すぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
他にも細菌やウイルスによる感染症が原因で、脳全体に炎症が起こる病気、髄膜炎(ずいまくえん)は、治療せずに放置してしまうと2人に1人は死亡するという報告もあります。定期的に脳ドッグを受診して脳周囲に問題がないかを確認することをお勧めします。
子どもの頭痛は注意すべき
子どもの頭痛は、検査を行ったとしても異常が見られないことが多く、心配になるような頭痛はほとんどありません。しかし、稀に頭部の外傷や感染症による頭痛が見られることがあるため、子どもの様子におかしなところはないか見ておく必要があります。
頭痛の他に発熱の有無や、悪心・嘔吐など繰り返すようなことがある場合は、二次性頭痛の疑いがあるため、医師に相談するようにしましょう。
遺伝的なこともあるかもしれませんが、対応が遅れてしまうと治療後も頭痛に悩まされたり、後遺症が残ったりすることも考えられます。
まとめ
一般に軽い頭痛の場合は、頭痛薬や痛み止めを服用することがありますが、薬の服用をすればするほど身体に耐性がついてしまうため、ここぞのタイミングで効きにくくなる可能性があります。薬だけに頼らず、生活習慣の改善やストレスを軽減して、頭痛を予防することに努めて行きましょう。