肛門科は外科の一分野として扱われており、外科医が肛門科の診療を兼任することもあります。しかし肛門科はかなり特殊な領域なため、一定水準の治療を行うには肛門科専門の病院で訓練を積む必要があります。
また受診する方には大腸の病気が見つかることもよくあり、肛門を扱う医師は大腸も診療できる必要があります。そのため最近では「大腸肛門科」という診療科が増えてきています。
主な内容としては痔、脱肛、肛門周囲の腫瘍、肛門の痛みや痒み、出血、排便の調子が良くないなどが挙げられます。
痔には、大きく分けると「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔ろう」の3種類があります。
痔核 (いぼ痔) |
肛門にいぼ状のはれができる状態 歯状線をはさんで肛門の内側にできるものを内痔核(ないじかく)、外側にできるものを外痔核(がいじかく)と呼びます。 |
裂肛 (切れ痔) |
肛門の出口付近が切れたり、直腸肛門部の血液循環が悪くなること 肛門の出口付近の皮膚(歯状線の下にある肛門上皮)が切れることから、「さけ痔」とも呼ばれます。 |
痔ろう (あな痔) |
直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のこと 痔ろうの主な原因は、下痢等によって肛門の組織に細菌が入り込むこととされています。 |
直腸の下部や肛門の粘膜組織が肛門の外に出てしまうこと
「肛門粘膜脱」とも言います。痔が進行すると脱肛の症状が現われます。
症状は、しこり、かゆみ、出血、疼痛、粘液分泌、便通異常(便秘、便失禁)などです。稀に症状がなく、鼠径部(そけいぶ)のリンパ節の腫れがみられることもあります。
肛門癌はこれらの症状が原因となる場合が多いですが、軽度のものであっても徐々に進行していくことが特徴です。
出血や膿が出る場合や肛門付近が腫れて痛みがある場合には、非常に危険な状態であると言えます。早めに肛門科へ相談するようにしましょう。