スポーツ外傷でよく見られるものに膝関節捻挫があります。膝関節捻挫は、足関節の靭帯損傷(くじき)に次ぎ、多い症状と言われております。激しいスポーツでは、足をくじいたりひねったりすることが多く、損傷率が高いだけでなく、初期の適切な治療が再発予防に大きな影響を与える重要な要素になります。
ここではスポーツの怪我で多いと言われている膝関節捻挫について説明しています。
▼ 膝関節捻挫(ひざかんせつねんざ)とは?
靭帯・腱・軟骨・半月板などの関節部を損傷すること
膝関節捻挫は膝に外力が加わることで起こり、骨以外の組織に影響を及ぼします。膝の関節には靭帯、腱、軟骨、半月板などが含まれ、関節の制動や安定性に関わる部分に損傷が生じることで症状が現れます。また膝の靭帯がゆるんだり断裂したりしている状態は、膝靭帯損傷(ひざじんたいそんしょう)と呼ばれます。
膝関節捻挫の症状
膝関節には膝前十字靭帯、膝後十字靭帯、外側側副靭帯、内側側副靭帯の4つの靭帯が存在しますが、外力の向きによってそれぞれの部位へ損傷が及ぶ可能性が変わります。
この中で最も一般的なのは、外側から内側に向けて外力がかかることによって生じる内側側副靭帯損傷です。一方、膝の内側から外側に向けて外力がかかる外側側副靭帯損傷は、通常単独で発症することがないと言われております。
膝関節捻挫は痛みが軽度である場合でも、放置すると関節が不安定になる可能性があります。関節が不安定になることで関節軟骨が摩耗し、変形性関節症のリスクが高まることがあります。従って膝に負荷がかかった後に痛みや腫れなどの症状が現れた場合は、専門家に相談することが重要です。
適切な処置とケアが治療後の健康に影響を与える可能性があるため、放置をせず治療をしておくようにしましょう。
膝関節捻挫の原因
膝関節捻挫の主な原因は、スポーツなどで膝関節に直接的、または間接的な外力が加わったことにより引き起こされます。具体的には以下のような場合が考えられます。
- ■直接的な外力が加わるケース
スポーツ中に膝を捻ったりした際に膝前十字靭帯損傷が起こりやすい - ■間接的な外力が加わるケース
ジャンプ着地や走行中に急な方向転換を行った際に膝関節捻挫が起こりやすい
膝関節に外力がかかることで靭帯や関節の組織にダメージが生じ、膝関節捻挫が発生する可能性が高まります。スポーツ前の準備運動や運動中に怪我をしないための注意が大事です。
▼ 膝関節捻挫の治療方法
膝関節捻挫は専門医で治療を行うことが最も有効な手段ですが、応急処置としては氷で冷やしたタオルを使い患部の炎症を和らげ、関節を固定して無理な動きを避けることが大切です。患部の冷やし過ぎはかえって治りを遅くさせてしまう可能性があるため、痛みが和らいできたらそのまま医療機関へ行くようにしましょう。
治療は通常、数日から1週間で回復することが一般的ですが、治療を怠るか適切でないケアを行うと回復が遅れることがあります。完全に回復するまで運動やマッサージを控え、安静に過ごすようにしましょう。また怪我をした後の2、3日は温めるのではなく、むしろ冷やす方が効果的です。これにより、怪我の腫れや炎症を抑えることができます。
▼ 膝関節捻挫を予防するには?
捻挫全般に言えることですが、予防するには運動前のウォーミングアップやストレッチ、捻挫しやすい部位のテーピングなどが有効です。
運動前のウォーミングアップ
ウォーミングアップは身体全体を温めることができます。温めることで関節の可動域が広がり、柔軟性が向上します。ウォーミングアップは捻挫を含むケガの予防に貢献するだけでなく、パフォーマンスの向上にも役立つと言われております。
ウォーミングアップにおいて効果的なストレッチ法として、動的ストレッチがあります。ダイナミックストレッチとも呼ばれ、全身を動かしながら関節や筋肉を伸ばす特徴があります。ラジオ体操なども動的ストレッチの一例です。ただし大きな反動をつけ過ぎるとケガの原因になるため、注意が必要です。無理せず心地よい範囲でストレッチすることを心がけましょう。
関節はテーピングで固定
足首などの捻挫しやすい箇所では、関節を安定させるためにテープを巻くことがおすすめです。これにより、捻挫の予防や再発を防ぐのに役立ちます。
運動中などに関節の可動域を超えた負荷がかかると、捻挫や脱臼などの怪我のリスクが高まります。関節周りにテーピングを巻くことは、関節の可動域を制限し、怪我を未然に防ぐことにつながります。
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▼ まとめ
膝関節捻挫の症状は痛みと腫れです。治療は捻挫の程度により異なりますが、痛みが引いたからといって無理に動かすと再発することがあるため、注意が必要です。また膝関節捻挫は、関節まわりだけでなく周囲の骨にも影響する可能性があります。ギプスやサポーターなどは自分判断で行わず、担当医の先生とよく相談するようにしましょう。