焼灼療法では、ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(RFA)という方法が主に用いられます。
これは、皮膚の上から肝臓内の腫瘍(がん)に電極針を刺して、ラジオ波という高周波を流すことで針の周囲に熱を発生させてがんを焼く(焼灼)治療法です。
ラジオ波とは、AMラジオなどの周波数に近い周波数約450キロヘルツの高周波のことで、他の医療機器(電気メスなど)に使用される高周波と同じものです。
腫瘍の大きさが3㎝以内かつ3個以下が基本的な適応になります。
焼かれたがん細胞は、細胞の機能が失われるために、間もなく死滅します。外科的手術と同じ程度の効果が期待できる治療法です。
【手術と入院についての例】
1.適応の確認 | 肝機能、全身状態の評価、CT、超音波検査を行い治療の適応を判断 |
2.入院予約 | 治療適応と判断されたら、入院の予約をします。 病院やその時のベッド状況にもよりますが、予約から入院までだいたい2~3週間が多いようです。 |
3.入院 | 大体治療1~3日前に入院します。 血液検査、レントゲン、心電図など全身状態の最終チェックを行い、病状や治療について医師から説明を受け、同意書に署名します。 |
4.手術 | 朝から点滴を開始。 胃の中に食べ物が入っていない方が、より安全に治療が行えます。 【手術の手順】 1.治療室に入ったら上半身脱衣の上、手術台に仰向けになる 2.両側の大腿部に対極板を貼り付け、穿刺部位の皮膚の消毒をする 3.痛みを感じにくくする薬を点滴から注入(全身麻酔とは異なり、意識はあります) 4.超音波で観察しながら、電極を病変に挿入し、電流を流して周囲の組織に熱を発生させ、癌を破壊。1ヶ所の焼灼にかかる時間は約6~12分間で、2~3cmの球状の範囲が焼灼されます。 治療にかかる時間は、病変の数、部位、見えやすさなどにより違ってきますが、通常30分から2時間です。 【治療後】 病院によりますが、術後約4時間は絶対安静、禁食(少量の飲水は可能)。 術後約4時間たった頃から翌朝まで床上安静(横向き、寝返り、食事は可)をします。これは、お腹の中への出血を防ぐために行います。 |
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ラジオ波により癌が十分焼灼されたかどうかは、治療翌日以降に施行するCTで確認します。 追加治療が必要な場合は、発熱などが消失し、全身状態が改善してから、再度ラジオ波を行います。 |
6.退院 | 出血などの合併症が何日か経過してから起こることがあるため、退院は治療後3日目以降が多いようです。 |