一般的に盲腸(もうちょう)と言われておりますが、実際には盲腸(右側大腸の盲端部分)に連続する虫垂が炎症を起こす疾患です。
この虫垂という細い袋のような臓器に異物や糞石などが詰まることで、二次的に細菌感染を起こします。
急性虫垂炎は炎症の状態から以下の3つに分類されます。
カタル性虫垂炎(かたるせいちゅうすいえん) | 炎症が粘膜のみにある状態 |
蜂窩織炎性虫垂炎(ほうかしきえんせいちゅうすいえん) | 虫垂壁全体が炎症している状態 |
壊疽性虫垂炎(えそせいちゅうすいえん) | 虫垂壁に壊死が発生している状態 |
虫垂壁に穴が開いてしまうことを穿孔性虫垂炎(せんこうせいちゅうすいえん)と言います。
また壊疽性虫垂炎と穿孔性虫垂炎は、治療が難航することから複雑性虫垂炎(ふくざつせいちゅうすいえん)とも呼ばれております。
急性虫垂炎は男女問わずどの年代でも見られる疾患で、最初は痛みが胃の周辺に出現しますが、時間の経過とともに右下腹部に移動します。
腹痛の他には、発熱(37〜38℃程)・悪心・嘔吐・食欲低下・下痢などが見られます。
治療方法は、緊急時には手術で虫垂を切除しますが、炎症が軽い場合は抗生物質の投与による治癒です。
また臍部(おへそ)の辺りから内視鏡を挿入して手術を行う腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)を行うところが増えてきております。
似たような症状では、高齢者に多い大腸憩室症(だいちょうけいしつしょう)や泌尿器科の病気の尿管結石(にょうかんけっせき)、婦人科の病気である卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)などがあります。
急性虫垂炎ではない可能性もありますので、外科や胃腸科だけでなく泌尿器科や婦人科などでも医師に相談してみると良いでしょう。
急性虫垂炎の原因はすべてが解明されているわけではありませんが、糞石(消化物の固まり)で虫垂の閉塞を引き起こすことが多いと言われております。
食生活では食物繊維が豊富な食材をバランスよく取り入れ、腸内環境を良くすると良いと言われております。
また不規則な生活・便秘・過労などでも急性虫垂炎の症状が誘発されると考えられているため、健康管理には十分気をつけるようにしましょう。