PRP療法とは?整形外科での活用とメカニズム

更新日2025.09.08

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▼ PRP療法とは?

血小板を濃縮した淡黄色の液体を患部に注入して組織再生を促す治療法のこと

PRP療法とは

PRP(Platelet Rich Plasma)は、多血小板血漿といわれ、血液から得られる血小板を多量に含んだ血漿のことです。

血漿(けっしょう)
…血液中の55%を占める淡黄色の液体

血小板には血液を凝固させ、止血する作用がありますが、組織を凝集させて血漿中に存在する凝固因子と協調し、止血を行う作用も担っており、組織を正常に維持するための物質を供給し治癒させる指令を出す働きも持っております。

血小板が放出する成長因子が、損傷組織の修復を促進すると考えられており、この働きを取り入れて組織再生を促進させます。

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▼ スポーツ医学分野での治療

スポーツ医学分野での治療

特に激しいスポーツをするトップアスリートやプロプレイヤーが、腱や軟骨の炎症や変性などの負傷において、安全かつ早期回復を目的に用いられることがあります。

2014年にはヤンキースの田中将大投手、2018年には元エンゼルスの大谷翔平投手が受けた治療法として話題となりました。

従来の治療法としては、ステロイド剤を注射して炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりしていましたが、副作用も多いため慎重に扱う必要がありました。その点PRP療法は、自身の血液から採取した血漿を注入するため、副作用もなく高確率で怪我や外傷を早期に治すことができるようになりました。

また、ステロイド剤のような人工物ではないため、アレルギー反応や感染を起こすことがなく、変形性膝関節症や腱障害など慢性変性疾患にも利用されるようになっております。

▼ PRP療法は保険診療ではなく自由診療

PRP療法は保険診療ではなく自由診療

2025年現在もPRP療法は保険診療としては認められておりません。

ヨーロッパやアメリカでは頻繁に行われている治療法ですが、日本ではまだ自費診療が主流なため、治療を行う場合には全額自己負担となります。

費用相場は症状や施設により異なりますが、「1回あたり10~40万円程度の範囲が一般的です。

PRP療法のような再生医療を行う病院は、厚生労働省に届け出が義務付けられているため、承認医療機関のみでしか治療を実施することができません。

また自身の血液を遠心分離機にかけて血漿を抽出するため、血液の状態によっては1度の採血ではPRPが抽出できない場合もあります。さらに抽出されたPRPは、超音波検査器で確認しながら患部に注入しますが、1度では効果が得られない場合もあり、費用負担が増えてしまうことも想定しておかなければなりません。
治療は専門医とよく相談してから行うようにしましょう。

▼ PRP療法の適応と期待される効果・注意点

PRP療法は、血小板に含まれる成長因子の働きを利用して損傷した組織の修復を促す治療法です。スポーツ医学分野だけでなく、近年では整形外科領域で慢性疾患や変性疾患への応用も進んでおります。

適応となる主な疾患

  • 変形性関節症(特に膝関節):軽度〜中等度の段階で効果が期待できる
  • 慢性腱障害(テニス肘・アキレス腱炎など)
  • 靭帯損傷や関節軟骨損傷
  • スポーツによる慢性的な炎症や損傷

期待される効果

PRP療法の効果は、痛みの軽減・炎症の抑制・組織修復の促進にあります。

特に変形性膝関節症では症状の進行を遅らせ、歩行時の痛みを軽減できる可能性が報告されております。効果の持続はおよそ6か月〜1年程度とされ、定期的に追加注射を行うケースもあります。

注意点とリスク

▼ 自由診療のため費用は自己負担(1回あたり10〜40万円が目安)

▼ 効果には個人差があり、すべての人に有効とは限らない

▼ 注射部位に腫れ・痛み・熱感が出ることがあるが、通常は数日で軽快

▼ エビデンスは蓄積されつつあるが、長期的な効果や再発予防効果は未確立

PRP療法は「手術を避けたい」「薬に頼りたくない」という方に有力な選択肢となり得ますが、あくまで自由診療であり、効果の保証はできません。治療を検討する際は、適応の有無を専門医と十分に相談し費用やリスクも理解した上で受けることが大切です。

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