2020年1月に関節リウマチ治療薬の製造販売が承認されました。
関節リウマチの治療においては目覚ましい進歩を遂げておりますが、原因の究明には至っておりません。ただし長年の臨床データから、特定の生理活性物質をピンポイントに投与することで、関節破壊の進行を抑えられるようになりました。
▼ 関節リウマチ(かんせつりうまち)とは
免疫の異常により関節が炎症を起こして変形してしまう病気のこと
関節リウマチ疾患者は世界に2000万人以上いると言われており、日本においても約60~100万人いると言われております。
朝目覚めると関節がこわばっているが、30分から1時間程で普段通りに動くようになる場合は、関節リウマチの可能性があります。
また痛みのある関節部分が腫れていたり、触ると熱っぽかったりする場合は注意が必要です。
特に朝のこわばりは関節リウマチの典型的な症状です。
毎朝関節の痛みや動かしにくい症状が出る場合は、たとえ一時的なことでも医療機関で詳しい検査を受けておくことをお勧めいたします。
関節リウマチの疑いがある症状は以下の通りです。
- 朝起きたときに関節のこわばりがある
- 寝間着のボタンは外しにくい
- 物を取るときに不自然さを感じる
- 歯ブラシが持ちにくい
- テレビやエアコンのボタンが押しにくい
- いつもは牛乳パックがうまく開けられるのにうまくいかない
- 箸やスプーンを持っている感覚がいつもと違う
- ドアノブがまわしにくい
- 靴紐やリボンが結びにくい
- 微熱があり全身にだるさを感じる
- 疲労感がなかなか抜けない
▼ 関節リウマチが女性に多い理由
関節リウマチの発症年齢は30~50代に多く、男性に比べ女性に多い病気です(男女比 1 :4)。
関節リウマチが女性に多いのは、女性ホルモンに関わりがあると言われております。
女性ホルモン自体が直接病気の原因ではありませんが、自己抗体の働きや免疫反応を促すサイトカインを活性化させやすいことが理由です。
また妊娠や出産とも関わりがあると言われております。妊娠中は免疫の働きが抑えられ、出産後に免疫の働きが一気に高まり自己免疫疾患を起こしやすいため、関節リウマチが発症しやすいと考えられております。
▼ 関節リウマチの原因
関節リウマチは、自分を守ってくれるはずの免疫が誤作動を起こし、自分の関節滑膜を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
人間の体は、細菌やウイルスなどから身を守るための免疫という機能が備わっております。その機能が異常に働き、自分を攻撃してしまうことが関節リウマチの原因と考えらえれております。
臨床データから見えてくる原因
自分の免疫が異常な働きをする正確な理由は明らかになっておりませんが、精神的なストレスや関節リウマチの発症に関連する遺伝子に関連性があると言われております。
特に喫煙は、多くの研究で炎症を増悪させることが証明されており、炎症が続くと動脈硬化を進行させることも判明しております。
またアルコールも過量摂取で炎症を増悪させることが知られております。
遺伝においては、HLA-DR4と遺伝子が関節リウマチの発症および重症化のリスク因子として知られており、身内に関節リウマチのある方は発症のリスクが高まります。
▼ 関節リウマチの予防方法
関節リウマチの原因にもあるように、発症には喫煙や過労、ストレスなどが原因です。
喫煙を辞めたり、過労やストレスを抱えないようにしたりすることで、病気のリスクを下げることができます。
合併症と感染症の予防
もし関節リウマチの診断をされた場合は、定期的に受診して現状から悪化させないことが大切です。
関節リウマチは進行を防ぐために、1日最低1回はすべての関節を動かすことが望ましいとされております。
ただし痛みがあるなかで無理に動かすことは、関節に負担がかかり症状を悪化させてしまう恐れがあるため、無理のない範囲で運動するようにしましょう。
また、すでに抗リウマチ薬や生物学的製剤などで治療をしている場合は、病気の進行は防げますが、薬による免疫の働きが抑えられておりますので、感染症にかかりやすい状態です。
合併症や感染症のリスクを上げないためにも、うがいや手洗いなどの予防はしっかりと行うようにしましょう。
他にも、最近では歯周病も原因のひとつとされており、定期的に歯科検診を受診することをおすすめいたします。
▼ まとめ
関節リウマチは女性に多い病気ですが、男性も例外ではありません。
予防をする上で、健康的な食事・適度な運動・十分な睡眠は体調管理の基本です。
他にも労働時間や仕事量を考え無理をせず休んだり、喫煙者による禁煙や適正な体重を維持したりするなど、生活習慣の改善に取り組むことは予防につながります。
関節リウマチの疑いのある症状が出た場合は、早めに主治医に相談するようにしましょう。